偏差値30からの生物基礎まとめ

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日本人も免疫も、はたらき過ぎは病気のもと 【第28回】免疫の異常による病気

免疫の異常による病気

 前回は、免疫の仕組みを利用した感染症の予防法と治療法について学習しました。私たちの体は、免疫の仕組みがはたらくことによって病原体から守られています。しかし、その免疫のはたらきによって病気が引き起こされることがあるのです。今回は、免疫の異常による病気について見て行きましょう。

 

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アレルギー

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 アレルギーとは、無害な物質に対して免疫が過剰に反応して起こる、体に不都合な反応のことです。例えば花粉症では、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどが引き起こされます。人も免疫も、はたらき過ぎは病気のもとなんですね…

 

アレルゲンとアナフィラキシー

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 では、アレルギーを引き起こす原因となる物質にはどのようなものがあるのでしょうか。例えば花粉ハウスダスト食物薬剤などがありますが、本来これらの物質は、免疫がはたらく必要がない物質です。このように、アレルギーの原因となる物質のことをアレルゲンと言います。

 また、アレルゲンによって起こる体に不都合な反応としては、例えばじんましんや、ぜんそくくしゃみ鼻水かゆみなどがあります。

 また、アレルギーの反応が過剰に起こり、急激な血圧低下や呼吸困難を引き起こすこともあり、このような症状をアナフィラキシーと言います。

 

自己免疫疾患

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 自己免疫疾患とは、免疫システムが自分の体を攻撃してしまう病気のことです。本来、体内に侵入した病原体を排除する役割を持つ免疫細胞が、自分の体を攻撃してしまうことで起こる病気のことです。

 左の図を見てください。実は、免疫細胞の中にはもともと自己を攻撃するT細胞があります。しかし、制御性T細胞という免疫細胞が自己に反応するT細胞のはたらきを押さえ込むため、普通の状態では自己を攻撃することはありません

 次に右の図を見てください。制御性T細胞の機能が低下してしまっていると自己に反応するT細胞のはたらきを抑制することができなくなってしまいます。こうなると、T細胞が自分の細胞を攻撃するため、重い障害が起こることがあります。

 

自己免疫疾患の例

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 自己免疫疾患の例として関節リウマチがあります。関節リウマチは、関節が炎症を起こし、軟骨や骨が破壊され、関節痛が生じたり、関節が変形してしまう病気のことです。

 

 

エイズ(後天性免疫不全症候群)

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 エイズとは、免疫システムそのものがはたらかなくなってしまう病気のことです。エイズは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスが原因となって引き起こされます。

 エイズに感染すると、免疫機能が低下し、通常なら防げる病原体に感染してしまう日和見感染が起こります。

 エイズウイルスは、HIV感染者の精液や血液などに含まれているため、性交渉や注射針の使い回しによって、感染が起こります。また、母親がHIV感染者である場合、お腹の中にいる赤ちゃんに感染することもあります。

 

HIV感染の仕組み

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 HIVは、免疫システムの要である、ヘルパーT細胞に感染します。すると、ヘルパーT細胞のなかでウイルスが増殖し、外へ出て行きます。そして次々とヘルパーT細胞に感染していき、免疫システムそのものがはたらかなくなってしまうのです。

 

日本のエイズ発生動向

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 では、日本ではHIV感染者はどれくらいいるのでしょうか。図は厚生労働省エイズ動向委員会の資料です。日本では、統計を取り始めてから現在まで、HIV感染者、エイズ発症者共に増加傾向にあります。新規HIV感染者は年間1000人を超え、新規エイズ発症者も400人以上となっています。

 世界的に見ると数は少ないですが、いまだに新規感染者が増加傾向にあるのは先進国では日本だけのようです。

 現在では、HIVに感染しても適切な治療を継続することによって感染前と変わらない生活を送れるようになっています。また、薬を服用し続けることで、エイズの発症を抑えられるようになってきているようです。今後の医療の進歩に期待しましょう。

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 以上です。お疲れ様でした。