偏差値30からの生物基礎まとめ

生物基礎の解説を行いながら、高校生、受験生の学習をサポートするブログです。丁寧に解説しているので学び直しや初学者にも最適です。

ワクチンとニワトリの関係 【第27回】感染症の予防と治療

感染症の予防と治療

 前回までは、体内に病原体が侵入した際にはたらく免疫の仕組みについて学習してきました。今回は、その免疫の仕組みを利用した感染症予防法治療法についてみていきましょう。

 

f:id:shimasensei:20180315165640j:plain

予防接種

f:id:shimasensei:20180315165620j:plain

 予防接種とは、注射によってワクチンを接種し、記憶細胞をあらかじめ作らせておくことで、自然感染に備える病気の予防法です。つまり、感染症にかかりにくくするために、あらかじめ免疫を獲得させておくということです。

 

ワクチン

f:id:shimasensei:20180315165821j:plain

 ワクチンとは、抗原の情報を保ったまま、無毒化・弱毒化した病原体のことを言います。ワクチンが体内に入っても病原性がないため、病気になることはありません

 

一次応答と二次応答

f:id:shimasensei:20180315165930j:plain

 病原体に初めて感染すると、病原体が増殖して病気になってしまうことがあります。この時、免疫がはたらけば病気は治ります。一次応答とは、病原体が初めて体内に入ってきたときに免疫の仕組みがはたらくことを言います。一次応答は、時間がかかりますが、体内では記憶細胞が形成されます

 二次応答とは、一度感染したことのある病原体に対して、免疫がはたらくことを言います。同じ病原体が体内に入ってくると、記憶細胞がはたらき、素早く強い免疫反応が起こるため、病原体に感染しても、発病を抑えたり、症状が軽く済むようになります

 この免疫の仕組みを利用したものが予防接種です。予防接種では、ワクチンを注射することによって、病気にならなくても体内で一次応答が起こり記憶細胞を作ることができます

 記憶細胞ができると、自然感染によって病原体が体内に入ってきても、二次応答によって、素早く病原体を排除することができるため、発病が抑えられたり、症状が軽く済むのです。

 

 

 さて、ワクチンはどうやって作られているのでしょうか。インフルエンザワクチンについて考えてみましょう。インフルエンザという病気は、インフルエンザウイルスというウイルスが原因で起こります。このウイルスのワクチンを作るためには、ワクチンの元になるインフルエンザウイルスを増殖させなければなりません

 では、どうやってウイルスを増殖させるのでしょうか。ウイルスが増殖するためには、生きた細胞が必要になります。この時、ウイルスを増殖させるために使われるのがニワトリの有精卵です。

 有精卵とは、普段私たちが食べている卵とは違い、中にニワトリの赤ちゃんが入っている状態の卵のことです。この卵に穴を開け、インフルエンザウイルスを注入します。これを数日間温め続けると、内部でウイルスが増殖します。ここからウイルスを取り出し、エーテルやホルマリンなどによって弱毒化・無毒化させ、ワクチンとして使用するのです。

 大人1人分のワクチンを作るためには、有精卵が1~2個必要だそうです。その後、ニワトリの赤ちゃんはどうなるのでしょうか。調べても答えは分かりませんでした。

 

 

血清療法の必要性

f:id:shimasensei:20180315170534j:plain

 例えば、ハブに噛まれたり、破傷風に感染したり、ジフテリアに感染すると、それらの毒素によって急激に強い症状が現れ、免疫の反応が間に合いません。こうなると命の危険があるため、早急な対応が必要になります。そのような緊急の場合には血清療法という治療法が用いられます。

 

血清療法

f:id:shimasensei:20180315170636j:plain

 あらかじめ他の生物にその病原体や毒素を死なない程度の量を注射すると、免疫のはたらきによって、抗体産生細胞ができ、抗体をつくります。この抗体を含んだ血清を取り出して、準備しておきます。

 これを病原体や毒素に感染したヒトに注射すると、その抗体のはたらきによって、病原体や毒素を取り除くことができます。

 このように、あらかじめ他の生物に抗体を作らせておき、抗体を含む血清を注射して治療する方法を血清療法と言います。

 この血清療法は医学博士の北里柴三郎さんによって開発されました。

f:id:shimasensei:20180315171035j:plain

 

 以上です。お疲れ様でした。