偏差値30からの生物基礎まとめ

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免疫の仕組み② 【第25回】細胞性免疫

細胞性免疫

 前回は、自然免疫には、物理的防御、化学的防御、食作用があることを学びました。今回は、それよりもさらに強力な適応免疫のうち、細胞性免疫の仕組みを見ていきましょう。

 

 

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⑴自然免疫と適応免疫

復習)免疫

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 免疫とは、病原体などに対する生物の防御反応のことで、自然免疫と、適応免疫に分けられます。自然免疫はさらに物理的防御化学的防御食作用に分けられ、適応免疫細胞性免疫体液性免疫に分けることができます。

 自然免疫とは、生まれながらに備わっている免疫の仕組みのことで、適応免疫とは、病原体が体内に侵入してから獲得される免疫の仕組みです。

 

自然免疫と適応免疫の違い

復習)食細胞が病原体を認識する仕組み

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 好中球やマクロファージなどの食細胞の細胞表面は、「レセプター」という構造を複数種類持っています。これが病原体の表面にある「抗原」という物質と結合した時に、それを病原体と認識して食作用で処理していました。

 食細胞は、このようにして複数の病原体を排除することができますが、その処理能力はそこそこなのです

 

適応免疫ではたらくリンパ球

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 一方で、適応免疫ではたらくリンパ球は、「レセプター」を1種類しか持たず、1種類の病原体だけしか認識しません。つまり、リンパ球は、一つの病原体に特化した、専門家としてはたらくということです。そのため、病原体の処理能力が食細胞よりも高いのです。

 

リンパ球と活性化

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 リンパ球は、レセプターが病原体の抗原と結合すると「活性化」します。リンパ球は活性化すると増殖して一気に数を増やします

 つまり、リンパ球が関わる適応免疫では、それぞれの病原体に特化したスペシャリストのリンパ球が、集団で病原体に立ち向かうことができるのです。

 

免疫細胞(白血球)の種類

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 前回学習した、自然免疫では、白血球のうち食細胞と呼ばれる好中球マクロファージ樹状細胞などが食作用によって病原体を排除しました。

 適応免疫では、白血球のうちリンパ球と呼ばれるB細胞ヘルパーT細胞キラーT細胞などがお互いに情報を共有しながら病原体を排除します。

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⑵細胞性免疫

第三段階

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 免疫の第三段階は、食作用だけで処理しきれなくなった病原体を処理する仕組みです。今回は、細胞性免疫に着目します。では、どのような時に細胞性免疫が働くのでしょうか。それは例えば、病原体の一種であるウイルスが細胞内に侵入してしまった時などです。

 

ウイルス

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 ウイルスは、細菌よりもとても小さく、DNARNAタンパク質に包まれた単純な構造をしています。細胞でできておらず、自分自身で増殖することができません。そのため、生物とは言えない物体なのです。

 このウイルスは、生物の細胞に侵入して、その細胞を乗っ取り、自分の体を増殖させます

 

ウイルスの増え方

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 ウイルスは、生物の細胞の中に侵入して増えていきます。まずウイルスのDNAが細胞の中に入り込みます。そしてこのDNAが細胞の核の中に入り、核の中で、ウイルスのDNAが大量にコピーされます。

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 そして、転写と翻訳の過程でウイルスのタンパク質が大量に作られます。これによって、ウイルスがたくさん作られ、細胞の外に出ていきます。細胞の外に出ていったウイルスは再び別の細胞に感染し、どんどん数を増やしていきます。

 このように、ウイルスが細胞の中に侵入すると、食細胞はウイルスを食作用で排除することができなくなってしまうのです。

 

細胞性免疫で主にはたらく免疫細胞

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 細胞性免疫とは、細胞内に侵入したウイルスなどの排除にはたらく免疫のことです。細胞性免疫で主にはたらく免疫細胞は「樹状細胞」「キラーT細胞」です。

 

細胞性免疫の仕組みその1

 

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 細胞性免疫では、まず、①樹状細胞が病原体を取り込みます。すると②病原体の抗原が樹状細胞の表面に出てきます。これを抗原提示と言います。

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 次に、③樹状細胞リンパ節に移動し、キラーT細胞を探します。(リンパ節とは、リンパ管のところどころにあるものです。風邪をひいた時に喉の扁桃腺が腫れることがありますが、扁桃腺もリンパ節の一つです。)そして④樹状細胞が提示している抗原と結合するキラーT細胞活性化し、増殖します

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 そして、⑤活性化して増殖したキラーT細胞は感染細胞を探しに行きます。ウイルスに侵入された細胞には、その病原体の抗原が提示されています。この抗原の情報を手がかりに、⑥キラーT細胞は病原体を細胞ごと排除します

 

細胞性免疫で裏方ではたらく免疫細胞

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 細胞性免疫では、裏方ではたらく免疫細胞があります。それは「マクロファージ」「ヘルパーT細胞」です。

 

細胞性免疫の仕組みその2

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 まず、①病原体を取り込んだ樹状細胞は、リンパ節ヘルパーT細胞も探します。そして②樹状細胞が提示している抗原と結合するヘルパーT細胞活性化し、増殖します

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 次に、③活性化して増殖したヘルパーT細胞は、その病原体を取り込んで抗原を持つマクロファージを探しに行き、これを活性化させます。④活性化したマクロファージは食作用が増強されます

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 そして、⑤活性化したマクロファージは、キラーT細胞によって排除された感染細胞を病原体ごと食作用で取り込んで処理します

 

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このように、細胞性免疫とは、様々な免疫細胞が関わり、細胞内に侵入した病原体を細胞ごと排除する仕組みのことです。

 

以上です。少し長くなってしまいました。お疲れ様でした。