偏差値30からの生物基礎まとめ

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ゲノムとは何か? 【第10回】DNAとゲノム

DNAとゲノム

 前回は、DNAの構造やそれがどのような物質でできているのか確認しました。DNAの構造は二重らせん構造と呼ばれます。DNAを構成する物質は、リン酸糖(デオキシリボース)塩基の3種類で、これらが結合してヌクレオチドという構造を作っています。DNAはこのヌクレオチドが多数繋がった2本の鎖が、塩基同士が向かい合う形で存在していました。この時、塩基にはAとTGとCがペアになる性質があり、この性質を相補性、塩基のペアを塩基対と言いました。

 今回はDNAの中にはどれほどの遺伝情報が書かれているのか、また、ゲノムという言葉がどのような意味を持つのか解説します。

 

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DNAと遺伝子

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ヒトの体細胞中の塩基対数

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 では実際に、ヒトの細胞内に塩基対はいくつ存在するのでしょうか。図をご覧ください。ヒトは母由来の卵と父由来の精子が受精して誕生します。このとき、卵に含まれるDNAは約30億塩基対精子に含まれるDNAも約30億塩基対です。これらが合体してできる子のDNAは合わせて約60億塩基対ということになります。

 

ヒトの遺伝子の数

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 次に遺伝子の数を見てみましょう。遺伝子とは、それぞれの形質の情報のことでした。大腸菌では約4,400個、シロイヌナズナでは約27,000個、マウスでは約23,000個、ヒトでは約20,000個の遺伝子が確認されています。このように、遺伝子の数は、生物の種類によって大きく異なっています

 

遺伝子の領域

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 次に、遺伝子の領域を見てみましょう。DNAの全てが遺伝子としてはたらくわけではありません。DNAの中には、遺伝子としてはたらく部分が飛び飛びに存在しています。ヒトの場合、全てのDNAのうち、遺伝子としてはたらく領域は約1.5%で、残りの約99%は遺伝子以外の領域です。

 遺伝子以外の領域は、全く意味がない塩基配列というわけではなく、遺伝子がはたらくタイミングなどを調節してくれる役割があることがわかっています。

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遺伝子とゲノム

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復習)染色体・DNA・遺伝情報・遺伝子

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 前々回、「CDシングル」は「CD」と「プラスチックケース」からできているのに対し、「染色体」は「DNA」と「タンパク質」からできている。「CD」には「音楽データ」が書き込まれているのに対し、「DNA」には「遺伝情報」が書き込まれている。「音楽データ」をCDプレイヤーで解析すると「曲」として認識されるのに対し、「遺伝情報」を細胞内で解析すると、「遺伝子」として認識される。ということを確認しました。では、ゲノムとは一体どのような物のことを指すのでしょうか。

 

ゲノムとは

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 ここでは「ゲノム」を再び「CD」に例えてお話します。今度は「CDの全曲集」で例えましょう。あるアーティストの楽曲を全てまとめたCDは複数枚に分けられています。これは、音楽データの量が多いため、1枚のCDに全ての楽曲のデータが収まりきらないためです。

 ヒトのDNAも同じように、生きる上で必要な全ての遺伝子は、遺伝情報の量が多すぎるため、1つの染色体の中に情報が収まり切らないのです。よって、染色体も複数に分けられて存在しています。すると、DNAも複数本に分けられていることになりますね。

 ゲノムとは、生きるために必要なすべての遺伝情報を含むDNAのセットのことです。遺伝子の量が多すぎるので、1本のDNAだけでは情報が収まり切らないために、複数本のDNAの中に小分けにして遺伝子が収められています。そして、この生きるために必要な全ての遺伝子を含むDNAのことをゲノムと呼んでいるのです。

 

真核細胞のゲノム

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 真核細胞の例として、植物細胞をあげました。植物細胞では、ミトコンドリア葉緑体の3ヶ所にDNAが含まれていました。ゲノムについて見てみると、核では2組保有しています。これは、母と父からそれぞれゲノムを1組ずつ受け取っているからです。

 一方で、ミトコンドリア葉緑体は、それぞれのゲノム1組ずつ保有しています。これは、ミトコンドリア葉緑体はそれぞれが、全て母由来のゲノムのみもち、かつ細胞内で分裂して増えるためです。

 

原核細胞のゲノム

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 原核細胞の例として、細菌の細胞をあげました。細菌では細胞質基質にDNAが存在していました。ゲノムは1組保有しています。これは、細菌が主に細胞分裂によって増えるためです。

 

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以上です。お疲れ様でした。