偏差値30からの生物基礎まとめ

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細胞内に他の生物が共生!? 【第7回】細胞内共生説

細胞内共生説

 前々回は光合成の過程を、前回は呼吸の過程を確認しました。これらの反応に関わるのは真核生物の細胞小器官である葉緑体ミトコンドリアでした。生物のエネルギーに関わるこれらの細胞小器官はどのようにして誕生したのか。その起源を考えていきましょう。

 

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復習)細胞の構造

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 細胞は真核細胞と原核細胞に分けられます。ここでは真核細胞の例として、動物細胞と植物細胞を、原核細胞の例として細菌の細胞を例にあげています。細胞の各構造のはたらきを忘れてしまった場合は、第2回を振り返ってください。

 細胞の構造は様々なものがありますが、中でも真核細胞の中にある、ミトコンドリア葉緑体などのように、機能がはっきりしているものは細胞小器官と呼ばれています。そして、原核細胞については、真核細胞と比較してとても単純な構造をしており、大きさも1/10程度しかありません。

 

復習)光合成と呼吸に関わる細胞小器官

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 前回、前々回と学習した光合成や呼吸は、真核生物について言えば、細胞内の葉緑体ミトコンドリアによって行われていました

 

ミトコンドリア葉緑体の共通点

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 では、ミトコンドリア葉緑体の共通点について見てみましょう。これらには、①で包まれている」、②「細胞内で分裂して増える」、③「独自のDNAをもつ」という特徴があります。これらの共通点をみてみると、生物の5つの特徴「細胞でできている」「DNAをもつ」代謝を行う」「子孫を残す」「体内環境を一定に保つ」と似ていることが分かります。

 つまり、ミトコンドリア葉緑体は生物の特徴の一部を持っていることが分かります。これはどうしてなのでしょうか。1967年に、マーギュリスという女性の生物学者がこの謎を解く細胞内共生説を発表しました。

 

細胞内共生説

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 細胞内共生説とは、ミトコンドリア葉緑体は、もともと原核生物であり、他の生物と共生することで形成されたとする説です。

 酸素を用いて呼吸を行う原核生物が他の生物の細胞内に共生しミトコンドリアになり、光合成を行う原核生物(シアノバクテリア)ミトコンドリアをもつ細胞に共生し、葉緑体になった、ということです。

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 図で確認してみましょう。まずはじめに、酸素を使う原核生物酸素を使わない原核生物の中に入り込みました。これが細胞内共生した結果、ミトコンドリアをもつ真核生物が誕生しました。この生物は、現在の動物や菌の祖先となったと考えられています。

 次に、ミトコンドリアをもつ真核生物内に光合成を行う原核生物であるシアノバクテリアが入り込みました。これが細胞内共生した結果、ミトコンドリア葉緑体をもつ真核生物が誕生しました。この生物は、現在の植物の祖先となったと考えられています。

 

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参考)地球環境と初期の生物の進化

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 最後に、地球誕生から現在までの生物と地球環境の様子をまとめます。地球はおよそ46億年前に誕生しました。その当時、生物にとって有害な紫外線が宇宙から降り注ぎ、地上はマグマに覆われていました。また、大気中に酸素はなく、生物が生きていくには厳しい環境でした。

 その後、雨が降り、海が誕生しました。海の中で、生物の材料となる物質が構成され、38億年前に最初の生命が誕生したと考えられています。当時、大気中にはまだ酸素が無く、最初の生命は、酸素を使わないで有機物を分解してエネルギーを得ることができる原核生物だったと考えられます。

 では、現在の大気中に酸素があるのはなぜでしょうか。それは、27億年前に誕生したシアノバクテリアという生物のおかげです。シアノバクテリアは地球上で初めて光合成をした生物として知られています。このシアノバクテリアの仲間が増加し、光合成によってたくさんの酸素が作り出されました。そして、現在の地球のように、大気中に酸素がある環境が作られたのです。

 実は、酸素は他の物質と化学反応を起こしやすいため(酸化)、生物にとって有害な物質でした。そのため、シアノバクテリアによって酸素が大気中に放出されるようになった当時は、大量の生物が絶滅したと考えられています。 

 一方で、酸素は、エネルギーを取り出す際に利用すると、それまで以上に大きなエネルギーを得ることができます。地球上に酸素がたくさん増えた後で、偶然にも酸素を呼吸に用いることができる生物が誕生しました。酸素を使うことができる生物の方がエネルギーの獲得に有利だったため、これがその後の地球の環境に適応していくことになります。

 そして、21億年前に真核生物が誕生したのです。

 

以上です。お疲れ様でした。