偏差値30からの生物基礎まとめ

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バイクのキャタライザーとコンタクトレンズを自動で洗浄してくれるやつは触媒が重要な役割を担っている 【第4回】代謝を進める酵素

 酵素のはたらき

 前回、代謝の定義を確認し、エネルギーを仲介する物質であるATPの役割について確認しました。生物の細胞の中では様々な化学反応が行われていますが、今回は、その反応をうまく進める酵素について解説します。

 

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触媒とは何か

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 上の図を見てください。こんなストーリーがあったとします。AくんとBさんは、共に受験に向けて一生懸命になっています。2人ともお互いの事が気になっていますが、なかなか一歩踏み出せません。そんな中、例えばC子さんが現れ、「お互い気になってるなら付き合っちゃえば」と助言しました。その言葉に押されて緊張が解け、めでたく2人は付き合うことになりました。

 AくんとBさんはお互いに気になっていたものの、告白する事ができずにいました。しかし、C子さんの言葉のおかげで一歩踏み出し、付き合う事ができました。この時、C子さんは「キューピッドとしてはたらいた」という事ができます。キューピッドであるC子さんは、2人の間に化学反応を起こし、カップルにすることができました。しかし、C子さん自身に彼氏ができたり何らかの変化があった訳ではありませんよね。

 実は、ここで勉強する「触媒」は、まさにそんなキューピッドのようなはたらきをする物質のことなのです。下の図を見てください。物質Aと物質Bはお互いに結合しそうな形をしていますが、自然の状態ではなかなか化学反応が進みません。ここに触媒という物質が加わることによって、2つの物質の化学反応が促進され、物質Aと物質Bが結合し、物質Cが合成されました。

 このように、通常の状態では進みにくい化学反応を促進する(どんどん進める)物質のことを触媒と言います。触媒は、化学反応を促進しますが、その前後で自分自身は変化しません。また、合成させる触媒だけでなく、分解させる触媒もあるので注意してください。

 

酵素とは何か

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 酵素とは、生物がつくる触媒のことを指します。中学校では、食べたものを消化・分解する消化酵素というものを勉強しました。その代表例を表に示しました。口の中のだ液に含まれるアミラーゼデンプンを分解します。胃液に含まれるペプシンタンパク質を分解し、すい臓から分泌されるすい液の中にあるリパーゼは、小腸で脂肪の分解に用いられます。

 

無機触媒と酵素

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無機触媒と酵素の関係を図に示しました。無機触媒とは、無機物(主に鉱物)でできている触媒のことです。代表的なものをあげると、白金、パラジウム、ロジウム、酸化マンガン(Ⅳ)などがあります。白金、パラジウム、ロジウムなどの無機触媒は、バイクのマフラーについているキャタライザーという部分で、有毒な排気ガスを分解する触媒としてはたらいています。また、コンタクトレンズをこすらずに自動で洗うことができる商品にも、白金が触媒として使用されています。

 

 一方、酵素は生物がつくる触媒で、アミラーゼやペプシン、リパーゼ、カタラーゼなど、様々なものがあります。

 無機触媒と酵素には、同じ物質に対して同じはたらきをするものがあり、ここでは、無機触媒である白金や酸化マンガン(Ⅳ)と、酵素であるカタラーゼが、過酸化水素という物質を分解する同じはたらきをもっています。

 

酵素の特徴

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 酵素の特徴を見てみましょう。1つ目は、反応の前後で自身は変化しないことです。よって何度でも繰り返し使用することができます

 2つ目は、タンパク質でできているということです。そのため、熱を加えると変性し、使用できなくなります。例えば、生卵に熱を加えると白身の部分は透明から白色になり、黄身も固まります。このように、タンパク質は加熱するとその構造が変化してしまうため、性質も変わってしまうのです。

 3つ目は常温でよくはたらくということです。ヒトの酵素の場合、ヒトの体温で最もよくはたらきます

 

参考)無機触媒の特徴

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 一方で、無機触媒は熱に強く、温度が高いほどよくはたらくという特徴を持っています。

 

酵素による過酸化水素の分解

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 過酸化水素を分解する酵素としてカタラーゼがあります。過酸化水素はカタラーゼによって酸素に分解されます。

 過酸化水素は、細胞にとって有毒な物質であるため、微生物などを殺す目的で消毒液として利用されています。これが体内に入ってしまうと他の物質と結びついて害を及ぼす危険があるため、カタラーゼは体内の多くの細胞に含まれています

 

参考)無機触媒による過酸化水素の分解

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 過酸化水素を分解する無機触媒として酸化マンガン(Ⅳ)があります。ここで起こる化学反応はカタラーゼの時と同じです。

 コンタクトレンズをこすらずに自動で洗浄することができる商品は、過酸化水素によってレンズについた微生物を殺菌します。過酸化水素が残ったままレンズを目に装着すると、目の細胞に大きなダメージを与えてしまうので、レンズの消毒もしつつ、白金が触媒としてこれを分解するため、一定時間後にレンズを装着できる仕組みになっています。

 

参考)化学反応式の係数について

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 化学反応式では、左辺と右辺の原子の数を合わせなければなりません。図のように、左辺では、過酸化水素は2個の水素原子(H)と2個の酸素原子(O)が結びついた構造をしています。右辺を見ると、水は2個の水素原子(H)と1個の酸素原子(O)からなり、酸素は2個の酸素原子(O)からなります。

 まとめると、左辺には2個の水素原子(H)と2個の酸素原子(O)が、右辺には2個の水素原子(H)と3個の酸素原子(O)があることになり、左辺に酸素原子(O)が一つ足りません。なので、左辺に過酸化水素をもう一つ足してあげると、右辺にも水がもう一つでき、両辺の原子の数が一致します。

 この時、各物質が何個ずつあるのかを係数によって示します。左辺の過酸化水素は2個あるので、分子式の前に2と係数をつけます。右辺については水が2個あるので分子式の前に2とつけます。酸素は1つですが、1つの場合、1は省略します。

 

細胞内ではたらく酵素

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 細胞内で働く酵素としては、の中ではDNAの合成に関わる酵素が、ミトコンドリアの中では呼吸に関わる酵素が、葉緑体の中では光合成に関わる酵素がはたらいています。この他にも細胞内にはたくさんの酵素が存在しています。

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以上です。お疲れ様でした。