偏差値30からの生物基礎まとめ

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細胞内のモバイルバッテリー!?ATP 【第3回】生命活動を支える代謝

生命活動を支える代謝

 前々回、生物には5つの特徴「細胞でできている」「DNAを遺伝情報として用いる」「代謝を行う」「子孫を残す」「体内環境を一定に保つ」があることを学びました。生き物は様々な活動をしますが、そのもとになるエネルギーはどうやって得てどうやって使っているのでしょうか。今回は、代謝に焦点を当てて解説します。

 

 

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⑴細胞の構成成分  

ヒトの細胞を構成する成分

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 まず、代謝について学ぶ前にヒトの細胞はどのような物質でできているか知っておく必要があります。多いものから順にあげていくと、①、②タンパク質、③脂質、④核酸、⑤炭水化物などとなります。その他に分類されているのは、ナトリウムやカリウム、カルシウムなどの一般に「ミネラル」と呼ばれるものだと思ってください。

 ①水は、細胞の中で、様々な物質を溶かして運ぶのに役立っています。②タンパク質は、アミノ酸がたくさん結合したもので、細胞内でたくさんの役割を持っています。③脂質は、細胞膜の主な構成成分であり、エネルギーの貯蔵などにも役立っています。脂肪は脂質の中の1種なので間違えないように注意してください。④核酸は遺伝情報を持つDNAや、その補助をするRNAなどのことです。そして⑤炭水化物は細胞の主なエネルギー源となります。

 タンパク質、脂質、核酸、炭水化物などは有機物と呼ばれます。有機物について詳しく説明することは避けますが、火をつけて燃えるものはだいたい有機物です。燃えるゴミの日に出せるものは全て有機物です(リサイクルの観点から、ペットボトルやプラスチックを燃えるゴミの日と分けている自治体も多いですが、これらも火をつければ簡単に燃えるので有機物です。逆に空き缶やビンは高温で溶けたとしても火はつかないので無機物です)。

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代謝とエネルギー

代謝

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 代謝とは細胞内で起こるすべての化学反応のことを指します。化学反応というと難しい気もしますが、化学反応は何かを作る合成反応(同化)と何かを壊す分解反応(異化)に分けられます。図では、バラバラのレゴブロックと、レゴブロックで作った飛行機の写真を載せています。バラバラのレゴブロックのように単純な物質から、それを組み立てて作った飛行機のように複雑な物質を合成することが同化複雑な物質(飛行機)を単純な物質(ブロック)に分解することが異化です。

 

同化の例)光合成

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 体内で起こる同化(合成反応)の例として光合成の反応を見てみましょう。光合成とは、「植物が太陽のエネルギーを用いて、水と二酸化炭素から、デンプンなどの有機物を合成すること」です。これをエネルギーの観点からみてみると、「植物が太陽の光エネルギーを有機物の中に取り込んだ」ということになります。有機物のように複雑な物質は、無機物のように単純な物質よりもエネルギーをたくさん含んでいます。この光合成の例のように、同化は、エネルギーを吸収して、物質を合成する反応です。合成された生成物にそのエネルギーが蓄えられるのです。

 ちょっと踏み込んだ話をすると、エネルギーは単純な物質どうしを繋げるための「接着剤」のような役割を果たしているということになります。

 

異化の例)呼吸

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 次に、体内で起こる異化(分解反応)の例として呼吸の反応を見てみましょう。別の機会に詳しく話しますが、呼吸とは「酸素を用いてグルコースなどの有機物を分解し、エネルギーを取り出すこと」です。この呼吸の例のように、異化は、物質を分解しエネルギーを取り出す反応です。ここで取り出されたエネルギーは筋肉の運動など、様々な生命活動に利用されます。

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⑶エネルギーとATP

ATP(アデノシン三リン酸)

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 スマートフォンを使用されている方の中には、モバイルバッテリーをお持ちの方も多いのではないでしょうか。スマートフォンは電気エネルギーで動いているため、電池が無くなると当然動かなくなってしまいますよね。

 実は、生物も生命活動を行う際に、化学エネルギーというエネルギーを使用しています。そのエネルギーは先ほど異化の例で示した「呼吸」によって取り出していました。ですが呼吸によって取り出したエネルギーはそのままの状態では使用することができません。そこで、いったんATP(アデノシン三リン酸)」という物質を合成して、ここに化学エネルギーを蓄えます。生物が生命活動を行うためには、このATPという物質を分解して、そこから出てくるエネルギーを使って活動を行うのです。

 ATPは、呼吸によって常に作られ続けています。生物がいつでも自由に生命活動を行うことができるのは、ATPがエネルギーの出入りを仲介してくれているからです。ATPはいわばすべての生物が共通で持つモバイルバッテリーのようなものなのです。

 

 

ATPの構造

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 図に示した通り、ATPアデニンリボースが組み合わさったアデノシン3つのリン酸が結合した形をしています。呼吸によって得られたエネルギーはリン酸どうしの結合に多量のエネルギーが蓄えられており、このリン酸どうしの結合を高エネルギーリン酸結合と言います。

 

ATPからエネルギーが取り出される仕組み

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 図に示したように、ATPは、ADP(アデノシン二リン酸)リン酸に分解されます。ATPの3つのリン酸のうち最も外側のリン酸の結合が外れると、そこに蓄えられていた化学エネルギーが放出され、このエネルギーが物質の合成や筋肉の収縮などの生命活動に利用されます。

 

ATPにエネルギーを取り込む仕組み

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 エネルギーを取り込むときは、呼吸によって得られたエネルギーを用いて、ADPリン酸から再びATPが合成されます。

 

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以上です。お疲れ様でした。